ラベル CPなし の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル CPなし の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2023/10/30

空想

  作品を描いていると、時々考えることがある。
 私の分岐点はどこだっただろう、と。
 作業通話に誰も捕まらなくて、私は黙々と液タブにペンを走らせる。話しさえできればあとは描くだけなので、適当な配信を聞きながら手を動かしていた。でもふと、そんなことを考えはじめてしまって配信の声が頭に入らなくなってくる。
 私の分岐点。私が通ってこなかった、もう一つの物語。
 たとえば、そもそもオタクにならなかった私。ちょっと想像ができない。今私がこんなに楽しいのはこれまで読んできた数々の漫画のおかげなので、それらを知らないでなにを楽しみに生きればいいのかわからなかった。
 たとえば、化粧を好きにならなかった私。はじめはオタクを隠して普通を装おうとしただけだったけれど、そのおかげで今化粧品を売っているのだから不思議なものだ。もしも化粧と出会わなかったら、私が化粧を好きにならなかったら、なにになっただろう。学生時代から漫画はよく褒められていたから、勘違いして漫画家になっていたかもしれない。でも私は二次創作ばかりでオリジナルを描いてこなかったから、きっと訓練もせずに目指してもいい結果にはならないだろうなと思う。
 たとえば、誰かと結婚した私。三十歳も見えてくると、周囲が結婚しはじめて時々焦る。いつか出会えたらいいなぁという気持ちもあるけれど、今のところは気配はなかった。私が恋愛をしたら、結婚をしたら、どうなるのだろう。漫画を描くのをやめているだろうか。オタクでいるのをすっぱりやめているだろうか。想像すると少し寂しかったけれど、オタクも漫画もやめて大丈夫なほど相手を愛しているのなら、それはそれで幸せなんだろうなと思う。
 だらだらと考えて、結局もう一つ物語なんてものを想像もできない自分の想像力の貧困さに苦笑した。
 いつか、そうだったかもしれない世界。
 想像しても見ることができない物語。
 考えても仕方ない。だって私は今生きていて、明日は仕事で、来月までに原稿を仕上げなければならないのだから。
 液タブにペンを走らせる。
 並行世界に夢を見るのは、今はまだやめておこう。

2023/10/28

紅茶の香り

  甘く華やかな香りがする。
 陽の光がまぶたの向こうを明るく照らす中で、それが芳しい珈琲の匂いでないことに強烈な違和感を覚えた。これは紅茶の匂いだ。両親はどちらも珈琲党なのに――そう考えたところで、もう両親はおらず、ここはイギリスだったことを思い出した。
 朝の明るさを鬱陶しく思いながら目を開ける。
 開け放たれたカーテン、花がらの壁紙、英語の書かれた背表紙の並ぶ本棚、ヴィクトリアン調の品のいい家具。
 それらを眺めても、真弥はまだ現実味を得られていなかった。
 先日、両親が死んだ。
 悲しさはない。物心ついたころには既に両親の仲は悪く喧嘩ばかりで、双方愛人を作って真弥を放っていたような親だ。金だけはあったので真弥が苦労することはなかったが、それを感謝するつもりもなかった。
 父は真弥を無視して愛人の元に入り浸り、保険金目当てに殺害され。
 母は愛人に入れあげ日頃暴力を振るわれていたらしい。その果てに殴り殺されたそうだ。
 中学生になる前だった真弥にそう訃報が届いたがどうでもよかった。
 一人で生きていこう。
 他人と過ごして愛などというまやかしに酔えば、両親のように殺される。
 連続して起きた両親の死に、真弥はそう決めて、元々なかった愛想をさらになくし心を閉ざした。
 そんな真弥を見かねて後見人として引き取ったのが、イギリスに住む一家だ。かつて父とよく交流していたらしい小父は「よかったら住む世界を変えてはみないか」と誘い、中学受験を控えていた真弥はそのままイギリスにやってきた。親のいた痕跡のある家に居続けるよりましだと思ったのだ。
 そうしてやってきたイギリスに、中学校に通うようになってからもまだ馴染めない。

「おはよう、ねぼすけさん。紅茶はいかが?」
「白湯をくれ」

 リビングに向かうと、紅茶の香りの元が話しかけてくる。過剰なほどおっとりとした、真弥より少し年上の、この家の娘だ。
 誘いを挨拶もなく無視して白湯を要求しても、娘は無視してさらに続ける。

「朝ごはんはどうする? パンと、オートミールがあるけれど」
「いらない」
「成長期なんだから、食べないと伸びませんよ」
「いらない」

 娘は愛想がないどころか不遜な態度の真弥を気にもせず、カップに白湯を注ぎ、トーストを焼きはじめた。白湯を飲めば内側から体が温められる。それが妙に不快で真弥は眉根を寄せた。
 物心ついた頃から食事が嫌いで仕方なかった。美味いと思ったことがないし、ときに不快で吐き出したくなる。緩やかな自殺志願の現れなのかもしれないと思ったときもあったが、単に体が受け付けないのだ。
 そんな真弥を、娘は笑う。

「どうしたんですか、そんなに難しい顔をして。さぁ、パンが焼けましたよ。バターは、いらなかったですよね?」

 真弥がどれだけ食事を嫌がっても、娘は構わず目の前に食事を置く。用意されたものを食べないわけにもいかず、焼き立てのトーストを口に含んだ。
 娘はわかっているのだ。用意すれば食べることを。そうして世話をすることで、今日も真弥が仕方なく生きなければならなくなることを。
 真弥の愛想の悪さに、触れようとすらしない人間が大勢いるのに。
 眉間のしわを深くして睨みつける。
 それに気付いているのかいないのか、香り高い紅茶を口に含む娘は、確かに「住む場所を変えた世界」だった。

2023/10/27

手紙

  簡素だけどオシャレなデザインの入ったレターセットを前に、ずっとシャーペンを打ち付けている。明日には渡さないとならないのに、さっぱり文章が書けなかった。
 クラスメイトが発案した、転校するやつに手紙を書こうとかいう、厄介な行事。
 書くのは別にいい。他の奴らに紛れて渡せるなら、多少は恥ずかしさも隠せるだろう。
 でも、文章にしたら、なにもかもあけすけにしてしまうんじゃないかと怖くて、いつまで経っても書けなかった。
 この手紙に、なにを書いても、きっとあいつとは二度と会うことがない。
 だから捨て台詞のように「好きでした」と書いてもいいのである。二度と会わないのだから。俺は連絡先さえ交換していないのだから。
 転校の機会に、連絡先も書かず告白だけ言い逃げしていくようなやつなど、きっとあいつも軽蔑するだろう。だからそんな卑怯な真似をするつもりはないけれど、なにを書いても滲み出そうで怖い。どれだけ隠して書いても伝わってしまうんじゃないかと思うと怖くてたまらない。
 国語の先生はいつかの授業で、言葉には力が宿ると言っていた。言霊というやつだ。
 口に出した言葉すら力が宿るのだから、紙に書いてしまったら、それは呪いになるんじゃないだろうか。
 便箋を睨みつけて固まってしまう。
 心臓が嫌な音を立てている。
 それでもなにかは書かないとならない。骨が軋むような音を立てながら、無理矢理手を動かしてみる。
 当たり障りのないことを懸命に探す。いつもどうだったとか、また会えたらとか、そういう、当たり障りはないかもしれないけど俺が見ていたことがバレるような言葉は排除していった。そうすると、精々元気でいてくださいとか、健康に気をつけてとか、そんなことしか書けなかった。
 とりあえず全部を書き終えて息を吐く。
 言葉を排除しすぎて便箋一枚すら埋まらなかった。でもバレることはないだろう。この片思いは、俺が丁重に葬ってやればいい。
 ボールペンで清書して。乾かしてから下書きを消す。少し文字が擦れたが仕方ない。

「…………」

 完成したものを眺める。
 なんとなく、その余白にシャーペンを走らせて、ハッとしてすぐに消した。
 強い未練は体を勝手に動かすらしい。
 余白に書いた文字が完璧に消えているのを確認してから、紙を掲げて祈った。

「どうか、なにも、バレませんように……!!」

 言霊は、吐いたらけして戻らない。
 でも、どうか、すぐに消した愛言葉は伝わらないでほしかった。

2023/10/24

招待状

  洗濯物をばさりと振り下ろして物干し竿にかける。
 雲ひとつない快晴、ブラウス一枚でちょうどいい気温。過ごしやすい季節にすぐに乾きそうだ。キトリは機嫌よく鼻歌を歌いながら、頭に生えた猫の耳と、スカートから覗く猫のしっぽを揺らす。
 猫族の洗濯物は大変な作業だ。なにせ自分たちから抜けた毛を落とすのに手間がかかる。丁寧に丁寧に取り除いても、空気中に漂う小さな毛がいつの間にか付着しているのだからきりがない。仕方ないので、キトリはいつも適当なところで諦めてしまう。
 長い長い家出を終えて、帰ってきた故郷は平和そのものだ。つい先日まで、次から次へと舞い込んでくる戦に駆り出される冒険者をしていたとはキトリ自身も思えないほどだった。
 旅の中で培った魔法の力を頼られることは今でもある。しかし結婚を控えている身なので大きな仕事を振るのは控えてもらっていた。それもあって、今キトリにある仕事は毎日の家事と、教会で子供たちに魔法を教えることだけだ。
 洗濯物を干し終えると、キトリはひとつ手紙を持って集落を出る。
 水の都と呼ぶに相応しい運河の中に作られた町の中心部には、行商人や冒険者たちの集まる宿などがいくつも建っている。そのうちのひとつ、ホテルと冒険者の店が一体となった店に入れば、冒険者らしく昼から酒盛りをする喧騒が耳に届いた。
 人族よりも鋭い感覚を持つ猫耳をぺたりと伏せながら、酔っぱらいに絡まれないようにそっとカウンターにいるオーナーの前に行く。

「オーナー、ここで一番足の早い人は誰? 信頼できる人だともっと嬉しいんだけど」

 問えば、一人のシーフを指さした。誠実そうな印象の猫族の少年だ。キトリの集落では見ない顔なので、どこかから流れてきたようだった。
 少年に声をかけると、少年は一瞬キトリを見て固まる。依頼をしたいんだけど、と伝えればどこかがっかりしたように手紙を受け取った。

「僕のマスターに届けてほしいのだ。もしいなかったら、わかる人に渡して。それもいなかったら、マスターが帰ってくるまでそこで待機するか、直接届けに行って」

 そう言って、前払いとして旅費分の金貨を渡す。滞在分は報酬と共に払うと言えば、少年は了解する。手紙と共に、宛先の人物の容姿と名前、そしてキトリの住所も教えると少年は早速店を飛び出していく。
 遅れてキトリも店を出た。
 渡したのは、キトリの魔法の師匠に宛てた結婚式の招待状だ。まだ二ヶ月先だが、忙しくどこにいるかもわからない師匠にはこのくらい余裕を持って知らせる必要があった。
 来てくれるかはわからない。来てくれたらいいと思う。
 そうでなくても、このどこまでも続く青い空の向こうへ、風の噂でいいから届けたかった。幸せであること、もっと幸せになること。
 師匠へ向けた初恋は、もう終わりにしたのだということを。

2023/10/23

衣替え

  洗濯物を干そうとベランダの窓を開けたとき、東城乙葉が一番に思ったのは"冷たい"だった。
 それまでのむっと来る熱気ではなく、これから来る冬を思わせる刺すような冷気に秋が来たのだと教えられる。見れば遠くの木々がわずかに色づきはじめていた。

「するかぁー、衣替え」

 誰に言うでもなく呟いて洗濯物を干し終える。
 今干したものをしまい忘れそうと思いながら、思い立ったが吉日と乙葉は物置から秋冬物を入れたコンテナを引き出した。
 乙葉と夫の分は出すだけでいい。よれて古くなったものを寄せつつ、真冬用の分厚い服は仕舞い直した。トレンドからは遠いものだが、毎年服を丸ごと買い替えるわけにもいかない。捨てた分だけ新しく買えばいい。何枚買い直せるかを数えつつ、乙葉は服の入れ替えを済ませる。
 大人の分の衣替えを終えたところで、乙葉は寝室へ声をかけた。

「撫子ー、おいでー」
「なぁにー?」

 パタパタとやってくる軽い足音。
 七歳になった娘の撫子を呼び出すと、乙葉は服を広げて撫子に合わせた。何枚もそれを繰り返す母を撫子はぽけっとしながら見ているが、大人しくしてくれるならそれでいいと説明もせずに一通りの確認を終える。
 そして、はぁと一つため息をついた。

「だめだぁー、全部買い直しだぁー」
「だぁー」
「大きくなったねー」
「でしょー!?」

 子供の成長は早すぎて、衣替えは毎年丸ごと買い替えになってしまう。流行に合わせたものを買えるのは嬉しいが、全部となると家計的にはしんどいものがあった。
 それだけ背が伸びているのは喜ばしいことではある。
 去年よりも一昨年よりも大きくなった娘の頭を撫でて、それからコンテナの中身を整理する。無意味だと思いつつ娘の夏物を仕舞って、物置の中へ入れ直した。
 一つ、伸びをする。隣の娘も真似をした。

「撫子、お洋服買いに行こっか」
「えー! ママのかいもの長いからヤダ! わたしおるすばんしてる!」
「撫子の服を買うのよー」

 年々減らず口が増えていく撫子を宥めつつ、出かける支度をさせる。乙葉の秋は今年もこうしてはじまるのだ。

2023/10/22

ライブ

  夏の太陽よりも熱いライト。
 暗く小さなライブハウスにひしめくかわいいファンたちの熱気。
 ミニスカートを翻して煽る。

「みんなー! まだまだ行けるよねー! 声枯らすまで叫べー!」

 うおおおお、と地響きのような歓声が肌をビリビリと揺らすこの瞬間があたしは何よりも好きだ。
 アイドルになりたくて上京してきたあたしは、夢を叶えてこの舞台に立っている。デビューしたてで知名度は低く、まだ大舞台には手が届かない。それでも今目の前にいる人々があたしを、あたしたちを見てくれることがとてつもない幸運であることを知っている。
 かわいいというより美人な方で、背も高く、冷たい印象を持たれやすいあたしは、アイドルに向いている方ではないことを知っている。
 それでもアイドルになりたかった。クールなだけじゃないあたしを演出してみたかった。
 そんなあたしの挑戦を認めてくれた、プロデューサーと仲間と、そしてファンのみんなに心から感謝している。
 だからあたしは歌うのだ。声を枯らすまで。

「さぁ次はファーストシングルからあの曲! いくよ!」

 次の曲を伝えれば、会場の熱気は更に増す。
 活動を続けてから、曲は何曲か増えている。それでも最初の一曲目は特別だ。左右の仲間たちと目を合わせて、開始前のポーズを取る。
 初めてあたしがセンターを飾った曲。
 あたしがアイドルとして認めてもらえたときの曲。
 イントロが流れるこの瞬間は、いつもドキドキした。まるで恋をしているみたいに。大好きな人に、かわいいと言われることを想像するときみたいに。
 愛を込めて歌うから、めいっぱいの歓声をあたしにちょうだい。
 息を吸う。
 愛してるを歌に込めて、全力を出すつもりで歌い出す。それでも溢れる愛は枯れそうになかった。

2023/10/21

抽象画

  はじまりはいつも唐突なものだけれど、私が絵と出会ったことは、より唐突なことだった。
 私は人付き合いが苦手で、自己表現が苦手だった。文章を書くのが上手い友達、かわいい絵が描ける友達、内気な子たちはそういう特技を持っていたのに、私には自分を表現できるなにかがなかった。ただ無表情に黙りこくる可愛げのない子供が私だった。
 成長するほどに自己表現を求められることがどんどん苦痛になっていって、比例してどんどん口数が減っていった。
 中学校に上がり、一層外に出ていくことの減った感情は、私の中に溜まって、体積を増やしていく。吐き出したいのに、吐き出すための言葉を私は全く持っていなくて息が苦しかった。
 そうして、限界を迎えたとき。
 私の目の前にキャンバスがあった。
 美術部が用意したものの、誰も何も描かなかったからそのまま放置されたらしい真っ白なキャンバス。近くにはおあつらえ向きに筆とパレットも置かれていた。
 どうしてそのとき、私がそこにいたのかをよく覚えていない。
 私は筆を取って、なにも考えず、衝動的にキャンバスへ振り下ろした。
 白いキャンバスに青が一線引かれる。これが私の悲しみ。
 白いキャンバスに赤が一線引かれる。これが私の怒り。
 白いキャンバスに黄色が一線引かれる。これが私の喜び。
 白いキャンバスに緑が一線引かれる。これが私の楽しみ。
 真っ白なキャンバスに色を置くたびにすっとした。吐き出したくても吐き出す方法を知らなかった感情がするすると出ていくのだ。色が重なり合って黒く濁っていくのが、感情を溜めすぎていっぱいいっぱいになった私のようだった。
 あああ、とか、わああ、とか奇声を上げながら殴りつけるように筆を振り下ろす私に気付いて先生がやってきても止めなかった。

「……できた」

 最後に私は、そう言って筆を置いた。
 具体的なものがなにも描かれていない抽象画。技法なんてなにも知らない私の作品なんて、子供の落書きと変わらない。それでも私は、生まれてはじめて自分の感情の出し方を知ったのだ。
 荒い筆跡で描かれ、端はカラフルだけれど、中央に向かうほど色が混じって黒くなっている。
 これが、今の私の感情。
 出来上がったものを眺めて呆然としていた私に、先生は「美術部に入らない?」と聞いた。
 綺麗な抽象画だね、もっと感情を正確に描けるような方法を知ってみない?
 勝手に美術室に入ったことも、勝手にキャンバスに絵を描いたことも怒らずに、チャンスを逃すまいと声をかけてきた先生に私は二つ返事で頷いた。
 あれからずっと私は絵を描き続けている。上手いか下手かはどうでもいい。
 これが私の感情だと、世界に突きつけるために描き続けている。

2023/10/20

残業

  はぁ、とため息をつく。
 久しぶりに仕事で大きなミスをして、その修正がようやく終わったところだった。上司は怒ったりしなかったが、大急ぎでやった修正に手一杯で怒る暇もなかっただけかもしれない。
 外はすっかり夜が更けて、向かいのビルの光がよく見える。そこでなにが行われているのか知らないが、きっと私のように残業をしている人がいるのだろう。
 明日謝罪に持っていく菓子を買って、今日は早く帰ろう。疲れたし、甘いものでも食べたい。
 一人だけになった事務所からトボトボと歩き出す。もう他の部署にも人は見えない。こんなに遅くまで居残ったのは、繁忙期以外では久しぶりだった。
 なんとなく戸締まりの確認をしながらエレベーターへと向かっていると、もう誰もいないと思ったのに一人、前からやってくる。
 他部署の同僚だ。研修の時に同じグループにいて、そのまま時々話す仲になった。
 まだ残ってたのか。じゃあ挨拶くらいしようか。
 そう思って口を開くより前に、同僚からなにかを投げ渡された。

「あっ、えっ!?」
「おつかれー、戸締まりしとくから早く帰んなー」

 すれ違いざまにそれだけ言って、同僚は私の返事も待たずに去っていく。その背中に辛うじてありがとうの声を届け、それからなにを渡されたのかを確認した。
 手の中に収まっていたのは、ホットレモンの小さなペットボトル。少し熱いくらいの熱がじわりと手を温めて、疲労で体温が低くなっていたのだと教えた。

「……お礼する人増えちゃったな」

 ペットボトルを開け、一口飲む。
 甘い味の中にレモンの酸っぱさがあって、疲労に染み込む。温かさが体内に広まったのを確認して蓋を締める。
 明日は気を取り直して頑張れそうな気がした。

2023/10/19

登山

  一歩足を進める。息を吐く。吸う。冷たい空気に肺が痛む。それを飲み込んで一歩足を進める。
 それを繰り返して、少年は山を登る。まだ華奢さが残る体に重い荷物を背負い、整備のされていない道とも呼べない道を歩く。
 危険が多いと言われるその山に少年以外の登山者は見えない。山の上には既に雪がちらつきはじめたのか空気が冷えて痛みさえ感じる。それでもなお少年は進む。憧れていたこの山にようやく来られる日が来たのだ。今日を逃す理由はなかった。
 空は雲ひとつない澄んだ秋晴れ。木々は赤く色づいて、少年を妖しく誘うようでさえある。遠くから獣の気配がする以外に他者の存在もなく、そんな山を独り占めできることはこの上ない幸福だと少年は思った。
 坂道を歩き、渓谷を渡り、崖を登る。
 わざとメインルートから外れた道を選んだ少年の行き先は、命の危険があるような場所ばかりだ。それらをくぐり抜けて歩くほどに、少年は息を切らし、消耗し、進む足を鈍らせていく。
 同時に、山との命の駆け引きに興奮していた。
 少年は、山が生きていると感じる瞬間が好きだった。とりわけそれ感じるのは、侵入者を排除するためにあるような危険な道を通る時だ。
 山を歩く。山と勝負する。山と駆け引きする。
 偉大な山に挑む。
 登りきったその時。

「はぁ……やば、すげー綺麗」

 手に届くような青空の近さと、眼下に広がる一面の赤い絨毯。まだ誰も足跡をつけていないわずかに積もった新雪を踏み抜き、山頂の一際高い場所から山を見下ろす。雪の白と紅葉の赤が、この世とは思えぬ美しさで足元にあった。
 ほう、と息を吐く。それまでの疲労が一気に消え去るような開放感に包まれながら、しばし少年はそれを眺めた。
 山を登りきり、山頂からの景色を見たとき。
 山に認められたようだと、少年は誇りに思うのだった。

2023/10/17

  つい先日まで焼けるように激しかった陽光は、気付けばただぽかぽかと体を温めるまで穏やかになっていた。朝起きて一番に日差しの強さを見てげんなりする季節が終わると、ほっとするような、冬の訪れの近さに焦るような、そんな感じがする。
 毎朝のランニングも随分と楽になった。走り出してしまえば気温すら忘れて走り続けられる私だけれど、走り終わったあとにやわらかな涼風に肌を撫でられたほうが心地いいのは当然のことだった。
 そんな風に、涼しくなった朝の日差しの中で今日もランニングを中断する。たったったっ、と淡々と続く足音が耳に入るようになった頃がやめ時だ。
 いつも休憩に寄る、ベンチと砂場と鉄棒しかない小さな公園には、いつも通りたくさんの鳩が集まっている。その隙間を縫ってベンチに座り、水筒を口に含んだ。その度に私は、氷をいくら入れてもあっという間にお湯になってしまう季節は終わったのだと、まだ驚いてしまう。強烈な夏は、なかなか私を解放してくれなかった。
 ふぅ、とひとつ息を吐く。
 餌欲しさに足元に群がる鳩を無視して空を見た。
 激しさを収めた陽光は木々に遮られて、やわらかな光だけが私に届く。それは少し寂しい色をしていて、秋がやってきたのだと一番わかりやすく私に教えていた。
 この走りやすい季節は一瞬で終わる。毎年そうだ。あっという間に秋は過ぎ去って冬になる。冬になれば、寒さに肌を切られながら走ることになる。秋はそんな私を憐れんで、冬より寂しく映った。
 目を閉じる。優しい光をまぶたの向こうに感じる。
 寂しく映るのに、秋は私を引き止めてはくれない。名残惜しさの欠片もなく、休んだら早く帰りなさいとばかりに風が木々を揺らした。
 仕方なく私は立ち上がり、鳩たちを追い立てながら公園を出る。出口で一度振り返って、紅葉といちょうの入り混じった景色を見た。
 やわらかな光に照らされた黄金色の景色は、私を受け入れる隙間もなさそうだった。
 邪魔者はさっさと帰ろうか。私は帰路を走り出す。ちらりと時計を見れば、少し予定より遅い時間を差していた。
 このままじゃ学校に遅刻してしまう。私は慌ててスピードを上げて、そのうち秋への寂しさも置いていった。
x

2019/11/27

2019.11.26剣盾プレイレポート13

 キルクススタジアムを後にすると、外ではソニアさんが待っていた。ジム突破のお祝いにご飯奢ってくれるんだって!
 メロンさんに再挑戦したホップが追い付いて、いざご飯と連れられた店の中には、宝物庫にあったタペストリーと同じものが飾られていたの。もう焼けて半分になってしまっていたけど、内容を読み取るには十分残っていて、ソニアさんは大興奮。与えられたテーマだけど、今では夢中みたい。
 ご飯を食べたあとは英雄が傷を癒したという温泉を見に行った。ポケモンしか入れないのは残念なくらい広い温泉。でも、ポケモンしか入れないなら英雄って、そもそも人なのかな? ソニアさんはそういうところも気になっているみたい。
 食後の運動にホップとバトルをしたあとは、スパイクタウンを目指して南下。またエール団に絡まれていた自転車のおじさんに出会って、海の上も自転車で通れるようにしてもらった。科学の力ってすごい。
 それからは自転車で氷河を渡り歩くことになる。寒いし寒いし寒い! 早くスパイクタウンで温かくなりたい! 一心で自転車を漕ぎきって、スパイクタウンの入り口に辿り着くとなんだか人が集集まってる。
 見ればシャッターが閉められているみたい。これじゃあお風呂も入れないし、ジムチャレンジもできない!


2019.11.26剣盾プレイレポート12

 ポプラさんを見送ってから、キルクスタウンに向かおうとすると、大きな地響きが鳴り響いた。たまたま一緒にいたダンデさんとソニアさんが気にせずジムチャレンジに行ってらっしゃいと言ってくれたけど、よかったのかな……なにか大きなことじゃないといいけど。
 その後、ホップに呼ばれてバトル。相棒と言って出したのがバイウールーで、なんだか嬉しくなっちゃった。まだまだ悩んでいるみたいだけど、前向きになってきてるから、よかった。
 キルクスタウンは、廃虚のあるサバンナ地帯を抜けた先にある雪国だ。レンガで作られた一帯はとても綺麗だけど、寒くて寒くて思わずブーツを買い直したりした。
 それからいざジムチャレンジ、とスタジアムに入ると、先にホップが来ていた。どうやら負けてしまったらしい。ホップが負けるってことは、相手も相当強いってこと。気合いを入れ直して、中へと入る。
 キルクスのジムミッションは、隠された落とし穴を避けながら雪上を歩くこと。これが本当に難しい! ダウジングマシンを頼りに歩いてもすぐに落とし穴に落ちちゃって体のあちこちが痛い……。
 でも、ジムリーダーのメロンさんには勝利したよ! セキタンザンのドリーがいれば、雪なんて怖くないよね!


2019.11.26剣盾プレイレポート11

 ルミナスメイズの森は、綺麗な光るきのこに彩られた森だ。幻想的なその世界は、森を抜けた先、アラベスクタウンにも続いている。
 昼でも夜でも木々に覆われて、薄暗い中をきのこが照らす。そんなこの町を守るのは、フェアリータイプ使いのポプラさん。
 ポプラさんのジムミッションは、後継者探しのオーディションも兼ねているそうだ。内容は簡単、バトルをしながらクイズに答えるだけ。……なんだけど、全然クイズに答えられないの。初めて会った人の好きな食べ物とか聞かれても困るよ!
 とはいえ、無事に突破することはできた。オーディションには不合格だったみたいだけど、わたしはジムリーダーになりたいわけじゃないからね。……ちょっと、残念な気もするけど。
 帰り際、ポプラさんもナックルシティに行くと言うから一緒にタクシーに乗せてもらった。その先で、ナックルスタジアム前であのビートくんに出会うと、ポプラさんが彼を見て一目で気に入ってしまったみたい。
 後継者のあてがあるって、そういうこと?
 ポプラさんがジムチャレンジの資格はなんとかしてやるって言いくるめて連れていっちゃったけど……いいのかなぁ。


2019/11/21

2019.11.20剣盾プレイレポート10

 サバンナを通り抜けると、山に拓かれたラテラルタウンは現れる。
 さっそくジムチャレンジだ、と歩いたところでホップは待っていた。まだビートくんに言われたことを引きずっているみたいだけれど、立ち直ろうとしているみたい。そのためのバトルを挑まれたから、わたしは精一杯の全力で応えた。ホップはラビフット以外のメンバーを入れ換えて、模索をしているみたいだった。あんなに仲の良かった、ウールーまで抜いて……。
 そんなわたしたちのバトルを見ていたらしい、ポプラさんが「自分のために、ポケモンのために戦いな」とホップの背中に言っていたのが忘れられない。ホップは、どうしてバトルをしたいのか、ちゃんと見えているのかな……。
 気分を落ち着けて、ラテラルスタジアムに入る。中は急な坂になっていて、高いところが苦手だから思わず身震いしちゃった。コースターに乗って、自身がピンボールになるようなジムチャレンジは今までで一番辛かったけど、なんとかクリア。
 奥に進むと、ジムリーダーのオニオンくんと戦うことになる。わたしよりも背が低い男の子。仮面で年はわからないけれど、年下っぽいのに、ジムリーダーをしているなんてすごい。だけどバトルではきっちり勝利を治めることができた。
 スタジアムを出ると、ソニアさんがわたしのことを待ってくれていて、一緒に遺跡を見に行こうって誘ってくれたんだけど、それと同時にすごい音が遺跡の方から聞こえたの。慌てて階段を駆け上がると、そこではビートくんがねがいぼしを掘り起こそうと遺跡に攻撃をしているところだった。
 止めるためにバトルをしても、ビートくんは耳も貸してくれない。どうしよう、と困ったところでローズ委員長たちが来てくれた。委員長は、ビートくんに変わらず優しく、公平に、冷静に、処分を下すと言ってくれて、スタッフさんによってビートくんは連れ去られていった……。
 ……ビートくんには、悲しい過去がある。ソニアさんは教えてくれたけど、遺跡を壊そうとしたことも、ホップに酷く言ったことも、許されるわけじゃない。
 ……わたしは、同情なんて、してあげないもん。


2019.11.20剣盾プレイレポート9

 ナックルシティのポケモンセンターで休んだあと、いざ観光と出るとさっきのビートくんがローズ委員長たちと一緒にいるのを発見した。しきりにねがいぼしを探している様子だったけど、どうやらローズ委員長からの頼まれごとみたい。
 彼が秘書さんに連れられてナックルスタジアムへと消えると、ローズ委員長は気付いていたのか、わたしにも着いてくるように言ってきた。
 ナックルスタジアムの地下で行われている、ねがいぼしを利用したエネルギー開発について一通り聞かされたあと、今度は宝物庫へと案内をされる。そこの鍵を握るのは、ナックルシティのジムリーダー、キバナさんだ。
 名前を聞いたときは女の人だと思ってたんだけど、実際には若い男の人だった。ダンデさんと同じくらいの年頃で、少し軽薄そうな。その人に案内されて入った宝物庫の奥では、ソニアさんがあるタペストリーを眺めていた。ガラルの国ができたときの、英雄を描いたものなんだそうだ。よくわからなかったけど、綺麗なことはわかったよ。
 その後、ナックルスタジアムにはバッジを七つ集める必要があるから、わたしはラテラルタウンを目指すことに。その道すがら、通せんぼしているエール団の人たちに遭遇した。
 エール団の人はどうにでもなったんだけど、駆けつけてくれたホップの元気がなくて心配。負けたことじゃなくて、ダンデさんの顔に泥を塗ったと言われたことに傷付いているみたい。
 わたしはダンデさんとホップの関係をよく知らない。でも、ホップがダンデさんを大好きなのは知ってる。だから、ああやって、ダンデさんのことで苦しむホップを見るのは嫌だな……。


2019/11/19

2019.11.19剣盾プレイレポート8

 朝、フロントに降りるとマリィちゃんが待っていてくれた。先にホップに会ってたみたいで、ホップがくれたっていうカブさんのリーグカードを分けてもらった。初めて会ったとき、ホップと一緒にいたの覚えててくれたんだ。応援もしてもらえたし、うれしい。もっと仲良くなれるといいな……。
 エンジンスタジアムでのミッションは、ポケモンを捕まえるか倒すこと。トレーナースタッフの妨害があるから、倒す順番を考えないといけない。でも、わたしにはソーンがいたから苦労することもなかったよ! 三匹とも捕まえたことのないポケモンだったからちょうどよかったな。
 その後、カブさんとのバトル。カブさんは同じ入場口から、同時に入っていく。お互いに挑戦者、ってことなのかもしれない。
 ダイマックスのタイミングをミスって少し危うかったけれど、タイプ相性がいいから落ち着いて勝利をすることに成功。さすが、ソーンだ。
 次のナックルシティへ行くには、ワイルドエリアを通ることになる。バトルを見てくれてたホップと一緒に出ようとしたとき、カブさん、ヤローさん、ルリナさんが見送ってくれた。エンジンスタジアムを通過できないトレーナーも多いから、序盤を乗りきったトレーナーにはエールを送るらしい。ジムリーダーたちの期待を背負うのは少しくすぐったかったけど、胸を張ってわたしたちは歩き出した。
 ……そう思っていたんだけど、ワイルドエリアに降りた先であのビートくんがまた絡んできた。今度はホップが挑発に乗ってバトルをしに行っていたけれど……ナックルシティの入り口で出会ったビートくんは、ホップのことを「あんな無様な負け方」と馬鹿にしていた。どういうこと、って聞いても、もう耳にも入ってない様子で先に行ってしまって……。
 ホップ、なにがあったの……?


2019.11.19剣盾プレイレポート7

 第二鉱山はバウタウンから続くトンネルをくぐればすぐにある。ガラル鉱山もキラキラしてて綺麗だったけど、ここも綺麗であちこちを見回しながら歩いていたら、一人の男の子に声をかけられた。
 確か……ガラル鉱山でも会ったような? 白い髪の男の子。よくわからないけど因縁をつけてきて、バトルしないと通してくれないから困っちゃった。推薦状のことでライバル意識をされてるみたい? 「弱い」から「ちょっと弱い」に評価が繰り上げられたみたいだけど、一人で話を進めちゃうからよくわからなかったな。リーグカードを押し付けて帰ったけど……。ビートくん? まぁあまり会わないといいな……。
 第二鉱山をさらに進んだ先に、カブさんはいた。炎タイプのポケモンを鍛えるために、水タイプの多い第二鉱山で訓練をしているんだって。わたしとホップが声をかけると、もう遅いからエンジンシティまで帰ろうと言ってくれて、一緒にホテルまで戻ることに。
 変な人に構われて疲れたし、早く寝ようと思ってスボミーインに入ると、そこにはマリィちゃんがいた。エンジンスタジアム前の腕試しがしたいっていうから、わたしも寝る前の一勝負として受けてたったよ!
 マリィちゃんは強かったなぁ。あのモルペコ、二種類の姿をしていたけどどんなポケモンなんだろう? どこにいるのか今度教えてもらいたいな。
 さぁ、明日はエンジンスタジアムだ。前半の難関、突破できるかは不安だけど……やるしかない!


2019/11/17

2019.11.17剣盾プレイレポート6

 ターフタウンからはまっすぐな道が続いていて、その先にある大きな橋を渡るとバウタウンがある。
 道中では寄り道したり、ソーナンスのカウンターに負けたりしながら楽しく歩いていたんだけど、橋に差し掛かったところでマリィちゃんの応援団の人たちがまた立ちふさがっていたの。自転車を奪おうとしてたみたいで、成り行きで戦っちゃったけど……あんなことをしても、マリィちゃんの応援にはならないと思うんだけどなぁ。
 そこからさらに歩いて、ホップとバトルしたりしながら、ついにバウタウンに到着。綺麗な港町で、海を見ようと歩き出したらローズ委員長がそこにいた。ダンデさんに推薦状をもらったことが気になるみたいで、バウジムを突破したらご褒美をくれるって。
 ご褒美が気になるから、張り切ってジムに挑むことに。
 中は上からものすごい勢いで水が流れ落ちてきていて、スイッチで水流の位置を変えるパズル。ちょっと悩んだりもしたけれど、突破した先でルリナさんとついにバトル。ちょうど草タイプのポケモンがいなくて、交換したばかりのモンメンのわたあめとのバトルだったんだけど、なんとか勝利を納めることができた。
 ジムから出れば、ローズ委員長の秘書の人が入り口で待っていて、ポケモンセンターの隣にあるレストランに行くことに。そこではローズ委員長とソニアさんが話をしていた。綺麗なレストランで美味しいご飯をいただいちゃって、ジム突破しただけなのにこんな豪華なご褒美もらっちゃっていいのかな、ってすごく緊張した……。ローズ委員長は別の用事があったのか、話もそこそこに帰ってしまったけど、ご飯は全部食べたよ! おいしかった!
 食事を後にすると、ホップが次のジムのリーダーは今不在なんだって教えてくれた。今は第二鉱山にいるんだって。ホップが行くなら、わたしもそこに行くことにしようかな。


2019.11.16剣盾プレイレポート5

 今日はジムチャレンジの開会式。
 こうしてジムリーダーを見るのは初めて……。皆さん、すごくかっこよかったな。これからあの人たちと戦っていくなんて、夢みたい。一人だけ来てなかったみたいだけど、あと一人はどんな人なんだろう?
 開会式が終わったら、いよいよ自分の足で歩くことになる。ジムチャレンジの順番は決まっているから、目指すのはターフタウン。ガラル鉱山を抜けた先にある田園都市だ。
 道のりは確かに遠くて険しかったけれど……それ以上に楽しかった! 見たことのないポケモンたちがあちこちにいるから、寄り道が全然終わらなくて……。
 気が付いたら、ソーンはメッソンからジメレオンへと進化を遂げていた。その他にも三匹が進化を終えて、強くなっている実感がある。
 ターフタウンに着いてからは、すぐにジムチャレンジをした。ホップがウールーのことを言っていてなんだろう? って思ったら、ウールーを追いかけて所定の位置まで連れていくのがミッションだったの。ハロタウンの子どもたちはみんな似たような遊びをしているから、初めてのジムミッションだけど困ることなくクリアできてよかった。
 ジムリーダーのヤローさんはとても大きいけれど、優しそうな笑顔のかわいい人だったから、緊張することなくジムに挑むことができた。ダイマックス同士のバトルは圧巻で、今も興奮が冷めないけれど……一つ目のバッジをゲットしたんだ!
 これは、アオガラスのガープスとレドームシのサッチーのおかげ!
 次はバウタウン。今度はどんなものが見られるのかなぁ?


2019/11/16

2019.11.16剣盾プレイレポート4

 ブラッシータウンから電車に乗って、わたしたちはとうとう生まれ故郷を離れる。目指した先はエンジンシティ。
 途中、ウールーたちに阻まれて電車が止まってしまったから、ワイルドエリアを通り抜けるハプニングなんかもあったけど、わたしはついにその街に足を踏み入れた。
 機械仕掛けの街、エンジンシティ。都会って本当にあるんだなんて、思っちゃうわたしは田舎者だな。あちこちで歯車が動いているのを見ているだけで一日が過ごせそう。
 スタジアムでジムチャレンジの登録をしたら、スボミーインでお泊まり。一人でホテルなんて初めて! ホテルに入る前にあちこち観光して、男の子のチラーミィを探したりしていたらあっという間に日も暮れちゃった。
 今度こそ落ち着いてチェックインしようとしたら、なんだか怖そうな人たちが占拠していて……困って声をかけたら、「邪魔するとポケモンバトル!」なんて言って全員とバトルすることに。ホップが途中で助けてくれたからなんとかなったけど……。
 後から来たマリィちゃんって子の応援に来ていた人たちみたい。マリィちゃんはごめんって謝ってくれたし、人たちもきっと悪い人たちじゃないんだろうな。
 色々あったけど、いよいよ明日は開会式だ。思わずひこうタイプのユニフォーム買っちゃったし、今から着るのが楽しみだな!