「お嬢様、ご注文の品が届きました」
「ありがとうございます、じいや」
本を読んでいたところに、じいやがことりと小箱を置く。中を開けてみると、品よく納まったネックレスが二つ。どちらにも小さな宝石がつけられており、プラチナの指輪と同じ装飾が施されていた。
プラチナはようやく届いたそれらをうっとりと見つめながら、旅に出た日を思い出す。
あの日もこうやって、ダイヤモンドとパールの指輪を眺めていた。今や懐かしい、あの日。まさか、身に付けている宝石と同名の少年たちと共に旅に出ることになるとは、誰が想像しただろうか。
「二人は喜んでくれるでしょうか」
「さぞかし喜んでくださるでしょう」
ネックレスはそれぞれ、小さな宝石を簡単に装飾したものだ。男性である二人に無闇に大きなものを贈っても身に付けてもらえないと考えた。身に付けていて欲しいから、彼らのために注文したのだ。
「ダイヤモンドには、究極の真円を。パールには、究極の硬度を」
「お名前とは違うものを渡されるのですね」
「はい。彼らは、コンビですから」
ダイヤモンド、パール、それぞれのネックレス。その周囲の装飾には、プラチナが使われている。
――旅が終わった今でも、わたしたちが仲間である証に。
「次に会う日が、楽しみです」
二人はお笑い芸人として励んでいる。プラチナもベルリッツ家の人間として、勉学と研究に追われる日々だ。旅が終わってしまえば、あっさりと道は違えてしまった。
それでもすぐに元の友人関係に戻れるように。プラチナは、そんな気持ちでこれを贈る。
どうか、受け取ってくれますようにと、祈った。
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2018/12/01
2018.11.14 シンオウトリオ
2018.11.13 ブルー→オーキド
オーキド博士が好きだった。
恋などとは呼べない。ただあの人は、アタシの世界に初めて入ってきた人だった。シルバーと二人で必死に生きてきたアタシを叱って、正しい道に戻そうとしてくれた初めての人だった。あれから色々なことがあった。だけどオーキド博士と出会わなければ、アタシは今でも真っ当な生活を送れていなかっただろう。シルバーと二人で、世界中を敵に回して、無意味に、必死に、生きていたんだろう。
アタシはオーキド博士に褒められたかったのだ。その大きな手で頭を撫でてもらって、もう大丈夫だと言ってもらいたかった。ナナシマで今でも「一番ずる賢い」と評された時は少しだけショックだった。いい子になったと言われたかった。でもなにかにつけて、心の中でごめんなさいを言ってずるをしてきたアタシは、やっぱり「一番ずる賢い」のだろう。
両親と再会してしばらくが経って、アタシはようやくこの初恋染みた感情の正体がわかった。
アタシはオーキド博士に、父親になってほしかったのだ。アタシの保護者となってほしかった。誰かに守ってほしかった。でもあの人は、アタシを叱ってはくれても、守ってくれたことはなかった。結局は幼子の浅ましい期待だったのだ。
それがわかったから、アタシはこの感情を恋とは呼ばない。誰に言うことも、この先ないだろう。
オーキド博士、だからお願いがあるの。
アタシがこの先、自分で幸せにしたい人に、幸せにしてもらえる時が来たら。
あなたに一番に祝ってもらいたい。それだけが、今あなたに願う唯一のわがままだ。