2019/01/22

2019.1.21

「お前らって付き合ってんの?」
「はぁ?」
 たまたま透也との共通の友人たちとばったり会ったので食堂でご飯を食べていると、脈絡なくそんなことを言われる。俺も透也も箸を止めて呆けてしまう。友人たちはにやにやと意地の悪そうな顔で俺たちを見ていた。
「だっていつ見ても一緒にいるしさ」
「馬鹿言え、こいつは男だぞ」
「いちゃついてる時あるし」
「ねーよ! いつだよ!」
「うはははは、ねーよきっも!」
 思考が追い付いてきて、なんとか否定する俺と爆笑する透也。そこまで全力で笑われると少し傷付かないでもない。
 女性と見紛う美貌の透也と四六時中一緒にいたら、さすがにそう思われるのも仕方ない。だがどこまでも男なのだ、橘透也は。
「大体そんな勘違いされるのもお前がからかってくるからだろ」
「だって童貞丸出しで面白いんだもんお前」
「うっせ! この年ならそこまでおかしかねーだろ!」
「俺彼女いたもん」
「はー!?」
 俺を嘲笑ってくる透也は自慢気に話す。高校時代には何人かいたらしい。この見た目でか、と訝しむ俺に透也は呆れたように見てくる。
「あのなぁ、高校まではちゃんと髪短かったんだぞ。見ろよ!」
 ぐいと見せてきたスマホには、女生徒と髪の短い透也が写っていた。昔の彼女との写真らしい。
 かっこつけたような表情がなんだかおかしくて笑いそうになったが、それよりも大きな猫目に吸い寄せられるように見入ってしまう。
 それこそ、女生徒の方になど目が行かないほど。
「……お前の方がかわいい」
 ぽろりと溢した瞬間、ガツンと強く殴られる。なにやら焦った様子で、叫ぶ。
「そう言うこと言うから誤解されるんだろバカ!」
 その顔がやっぱりかわいいとしか思えなかったのは、ひとまず飲み込んだ。

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