いつも人気のない公園に、珍しく子どもが二人。一人は少年。もう一人はとても可愛らしかったが、性別を推測しかねる美貌をしていた。
少年が草むらにしゃがみ込んでいるのを、美貌の子どもが見つめる。そこに咲いている花々は凛と太陽に向かってその花弁を見せつけていた。少年はそのうちの一つ――飛びきり美しい、美貌の子どものような透明感のある白い花を摘むと、器用に輪にしていく。
「うまいね」
「だろ? 得意なんだ。ほら、手貸せよ」
無遠慮に美貌の子どもの左手を取ると、少年は躊躇いなく薬指に花の指輪を通す。
二人は静かに、あるいは厳かに、真剣な表情でその儀式を見届ける。指輪はやがて付け根までしっかりとはまった。なにも見ずに作ったというのに、不思議なほどぴったりだった。
「これって、結婚してる人の位置だよ」
「そうなのか」
「結婚するの?」
「いいよ」
恥じらいなく、少年は肯定する。美貌の子どもは照れることはなく、ただ切なげに目を伏せて指輪を見た。そっといとおしそうに指輪に触れる子どもに、少年は語る。
「しばらく会えなくなるけどさ、結婚するときに迎えに行く。だからそれ、取っといてよ」
「……花なんてすぐに枯れちゃうよ。ばか」
人気のない公園で、子ども二人きり。そっと交わされた誓いの言葉は誰に聞かれるでもなく、幼い口付けによって完成をした。
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2019/01/27
2019.1.27
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