「お嬢様、ご注文の品が届きました」
「ありがとうございます、じいや」
本を読んでいたところに、じいやがことりと小箱を置く。中を開けてみると、品よく納まったネックレスが二つ。どちらにも小さな宝石がつけられており、プラチナの指輪と同じ装飾が施されていた。
プラチナはようやく届いたそれらをうっとりと見つめながら、旅に出た日を思い出す。
あの日もこうやって、ダイヤモンドとパールの指輪を眺めていた。今や懐かしい、あの日。まさか、身に付けている宝石と同名の少年たちと共に旅に出ることになるとは、誰が想像しただろうか。
「二人は喜んでくれるでしょうか」
「さぞかし喜んでくださるでしょう」
ネックレスはそれぞれ、小さな宝石を簡単に装飾したものだ。男性である二人に無闇に大きなものを贈っても身に付けてもらえないと考えた。身に付けていて欲しいから、彼らのために注文したのだ。
「ダイヤモンドには、究極の真円を。パールには、究極の硬度を」
「お名前とは違うものを渡されるのですね」
「はい。彼らは、コンビですから」
ダイヤモンド、パール、それぞれのネックレス。その周囲の装飾には、プラチナが使われている。
――旅が終わった今でも、わたしたちが仲間である証に。
「次に会う日が、楽しみです」
二人はお笑い芸人として励んでいる。プラチナもベルリッツ家の人間として、勉学と研究に追われる日々だ。旅が終わってしまえば、あっさりと道は違えてしまった。
それでもすぐに元の友人関係に戻れるように。プラチナは、そんな気持ちでこれを贈る。
どうか、受け取ってくれますようにと、祈った。
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2018/12/01
2018.11.14 シンオウトリオ
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