2019/02/09

2019.2.8

「そうだねぇ。炎の色が青くなる理由は知っているかい」
「……温度が高いから?」
「うーん、まぁそれでいいかな」
 仕事を済ませて自室へ戻ってきたアイザックは、コルネリアを相手に講義を再開する。
 魔法というのは、突き詰めれば想像力によって大きく内容が左右される。契約した属性からどう連想するかによって、使える魔法は変わってくるのだ。はっきりと表したい現象を想像できなければ、どんなに理屈を説いても同じことはできない。
 それを解消するのがアイザックの仕事ではあるが、やはり共通した認識のあるもの以外では個性が大きく出てしまう。そこが魔法の面白さであり、難儀なところでもあった。
「僕の魔法はね、魂を燃料として燃えるんだ」
「……魂を」
「体を器とし、魂を燃料として人は生きる。多くの人は燃料が尽きて死んでしまうけれど、中には器が先に壊れ燃料が残ってしまう人がいる。それが霊だと、僕は考えているんだ」
 実体を持たないモノに攻撃をするとき、必ずしなければならないのが定義付けだ。アイザックのこれは魂が存在すればどんな相手でも対応ができて便利だった。
「そして魂というのは僕たちを生かす燃料。それだけ強いエネルギーを持っているから、僕の魔法は青く燃えるんだよ」
 退魔師の数だけ定義と魔法は存在する。その中のひとつを紹介し、退魔師を目指すコルネリアに定義付けは今から考えておくといいかもしれないと言えば、彼女は少し考え込む様子を見せる。
「……つまり、その魔法は……アイザック先生も、燃やしますか?」
「うん、そうだね。魂がある以上僕も燃えるだろうねぇ」
「……わかりました! ありがとう先生、わたしちょっと見えた気がする!」
 彼女の中でどんな思考が巡ったのかはわからない。ただ、なにかが定まったのならと、アイザックは納得した。

0 件のコメント:

コメントを投稿