2019/02/08

2019.2.7

「アイザック先生って何者なんですか!?」
「何者って言われてもねえ……」
 事件があった日の放課後、コルネリアはアイザックに詰め寄る。高位の魔法使いしか使えない青い炎を操る人。そんなすごい存在などとは知らなかった。
 アイザックは授業でよく魔法を使用する。愉快に歴史を教えるためのそれらはいつも楽しいが、アイザックはその中で炎を操ったことがなかったのだ。だから、そんなにすごい人だと気付くことがなかった。
 問い詰められるアイザックは困った様子でコルネリアを宥める。
「僕はただの教師だよ」
「でも、青い炎を使えるじゃないですか!」
「それはサラマンドラがたまたま僕を気に入ってくれただけのことだ」
 いいかい、とアイザックの講義が始まる。
 高位な魔法使いとなるには、勉学に励み教養を深め、想像力を育むだけでは足りない。必ず四大精霊との相性が良い必要がある。どんなに能力が高い人でも、選ぶ精霊を間違えれば魔法レベルが低く止まる。
「僕は運よく、非常にサラマンドラと相性がよかった。それだけなんだよ」
「でも、それくらい頭がいいってことでしょう?」
「頭はよくないさ、勉強は好きだけどね」
 アイザックはのらくらとかわすように答える。腑に落ちずに、アイザックの魔法について訪ね続けていると別の生徒がアイザックを呼んだ。
「アイザック先生」
「コルネリアさん、また後でおいで」
 ゆっくりと魔法について答えよう、と言い残し彼は行ってしまう。どうしてあんなにすごい人が、ただの教師などに落ち着いているのだろうか。不思議でたまらなかった。

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