親しくもないのに踏み込んだ質問をしてしまったことに罪悪感を抱きながら、話を続ける。インク瓶の話であるとか、友達の反応であるとか、先生に言われたことであるとか。
一通り聞いたところで、話の矛先はわたしへと向いた。
「遠坂、前にもらったって言ってたけど、誰にもらったの?」
「あ、えと、おじいちゃんが、誕生日に……」
「へぇ、いい人じゃん。そこそこ高そうなやつだったよな?」
「うん、一万円くらいみたい、同じやつが本屋に置いてあった」
いいなぁ、と佐藤くんはのんびりと言う。万年筆を見ていると、つい高いものが欲しくなるらしい。愛着があるんだろうか。
「だから、万年筆を好きになりたいなって思ってて……。あのね、佐藤くんのおかげなの。万年筆を少し好きになれたの」
「お、おう?」
「使い方もわからないし、他に持ってる人もいないでしょ? だから、なんか……万年筆のこと、怖くて。佐藤くんがいてよかった」
佐藤くんが話しかけてくれなかったら、どんな風に使ってるか教えてくれなかったら、わたしにとって万年筆は得体の知れないもののままだっただろう。
「だから、ありがとう。今日話してくれて」
まだ他人の前では使えないかもしれないが、初めの頃よりは万年筆への恐怖も薄れてきた。もっと使える場面を増やしていこうと思えたのは、間違いなく彼のお陰だ。
そんな素直な気持ちを伝え終わったあとで、はっとする。
「やだ、なんか告白みたい。ごめんね本当。今日はありがとう、そろそろ帰ろうか」
「………そうだな」
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2019/02/17
2019.2.17
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