2019/01/30

2019.1.30

 魔法学校ブレイブアークでは、一年生の間は歴史を学びながら基礎魔法を学んでいく。火を操り火力を安定させたり、水を操り状態を変化させたり、風を操り物を浮かせたり、土に力を与え植物を一瞬にして育てたりする。
 それらの簡単な魔法は、精霊との契約がなくても使用ができる普遍的なものだ。そこから魔法の使い方を学び、より自身と強く結び付く属性の魔法を探っていく。魔法とは操る属性からの連想で幅を拡げていくもの。つまり自身の思想・想像に合った属性を選ばなければ、使える魔法も限られてきてしまうのだ。
 そして一度精霊と交わした契約は、二度と鞍替えすことはできない。一生付き合っていく魔法について、子供たちは懸命に学ぶ。
 属性を決めるのは本人の意思が基本だが、家系として精霊との相性がよかったりとか、あるいは精霊に選ばれるなどして決まることもある。だからこそ、一年生は特に真剣に魔法について知らなければならない。
 といったことは口を酸っぱくして言い聞かせているのに、目の前の少女はなかなか聞かない。
「コルネリアさん。ちゃんと四属性バランスよく勉強しないといけないだろう」
「でも、先生はサラマンドラの担当じゃないですか!」
 コルネリアは火属性の魔法ばかり聞きたがる。
 二年生からは属性別に寮が分かれる。自動的に取れる授業も変わってくるため、コルネリアは火属性の魔法を扱えるようになりたいらしい。アイザックがいるから。
「僕は歴史の担当だから寮が分かれても授業は取れるよ」
「でも」
「僕は同じ属性の子より、なんであれ勉強をしてくれる子の方が好きだねぇ」
「うぅ~~っ」
 あまりこういう脅し染みた台詞は使いたくないが。コルネリアは大いにむくれながら、教科書に目を落とす。素直で熱心なのは、コルネリアのいいところであった。
「コルネリアさんはどんな魔法に興味があるのかな? 僕はそれが知りたいな」
「…………。わたしは――」
 珍しくそんな叱り方をしてしまったために、詫びとして彼女の話を聞くことにする。子供の話を聞くのは、アイザックには苦ではなく、愉快で、勉強になることだった。

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