華房心を知ったのは、小学校に上がる前の話だ。近所に住んでいた彼女と、たまたま出会って、名前を知っていた程度の間柄。
彼女は幼い頃から可愛らしかった。ふわふわと揺らす髪はわたがしのように甘く、大きく世界を映す瞳は金平糖のように輝き、柔らかな肌はマシュマロのようだった。華房心が男であると知った時が、私の初めての初恋の自覚の瞬間だっただろう。
そんな砂糖菓子のような甘い愛らしさを振り撒く男である彼女は、それはそれは異質だった。男子は自分と同じ性であることを認めなかったし、女子は自分たちの領域に彼女が踏み込むことを拒んだ。その結果、彼女は陰湿ないじめに遭うこととなる。
私がそれらの行為を止めることは容易だっただろう。裏まで監視の目を通らせ、彼女に仇なす者を排除することは、とても容易なことだった。しかし、私はそんなことはしなかった。
孤高に咲く華が美しかったから。
その美しさを知っているのは自分だけで十分だったから。
しかし、彼女は私と桃助に出会い、アイチュウとなり、そして愛童星夜と巡り会った。
これは私にとって大きな誤算だった。孤高の彼女を囲い、最も近くにいるのは自分のはずだったからだ。彼女に友達ができることも、彼女が他人を受け入れることも、予定していなかった。
だがーー面白い。
私は生来、追うのが好きな性分だ。狩りをするように、周到に近付き、確実に仕留めることが好きだ。そう、まだ私は彼女に罠を仕掛けている最中なのだ。
華を手にするのは、私なのだ。
そう決めている。決まっている。ならば、多少の邪魔は、ゲームの良い障害物にすぎない。
「覚悟しなさい、心」
彼女は幼い頃から可愛らしかった。ふわふわと揺らす髪はわたがしのように甘く、大きく世界を映す瞳は金平糖のように輝き、柔らかな肌はマシュマロのようだった。華房心が男であると知った時が、私の初めての初恋の自覚の瞬間だっただろう。
そんな砂糖菓子のような甘い愛らしさを振り撒く男である彼女は、それはそれは異質だった。男子は自分と同じ性であることを認めなかったし、女子は自分たちの領域に彼女が踏み込むことを拒んだ。その結果、彼女は陰湿ないじめに遭うこととなる。
私がそれらの行為を止めることは容易だっただろう。裏まで監視の目を通らせ、彼女に仇なす者を排除することは、とても容易なことだった。しかし、私はそんなことはしなかった。
孤高に咲く華が美しかったから。
その美しさを知っているのは自分だけで十分だったから。
しかし、彼女は私と桃助に出会い、アイチュウとなり、そして愛童星夜と巡り会った。
これは私にとって大きな誤算だった。孤高の彼女を囲い、最も近くにいるのは自分のはずだったからだ。彼女に友達ができることも、彼女が他人を受け入れることも、予定していなかった。
だがーー面白い。
私は生来、追うのが好きな性分だ。狩りをするように、周到に近付き、確実に仕留めることが好きだ。そう、まだ私は彼女に罠を仕掛けている最中なのだ。
華を手にするのは、私なのだ。
そう決めている。決まっている。ならば、多少の邪魔は、ゲームの良い障害物にすぎない。
「覚悟しなさい、心」
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