2018/12/01

2011.11.14 ミヅリリ

 リーリエがカントーへ行って1ヶ月が経った。
 アローラは今日も晴れ晴れとしている。空は高く、雲は大きく、海は光り輝いて、緑は青々と繁っていた。それなのに、わたしの目にはまるで霧がかったように見える。
 隣にリーリエがいないから。
 アローラの旅には、いつもリーリエがいた。アローラに来た日からずっと。辛い時も怖いこともあった。だけどリーリエが、隣で一緒に頑張ってくれたから、わたしも旅をやりきれたのに。
 わたしのアローラには、リーリエが必要だったのに。
 ーー勝手にどこか行っちゃうなんてずるいよ……。
 リーリエのお母さんに着いていないといけないのはわかってる。だけど、せめて連絡先くらい教えてほしかった。ピッピ人形なんて置いていかないで、リーリエに一緒にいてほしかったのに。
 ピコン、とパソコンが鳴る。もぞもぞとベッドから出て確認すると、ククイ博士からだった。
『アローラ! リーリエから手紙が届いているよ。いつでもおいで』
 簡単な文章だった。
 だけどそれだけで、わたしの世界が晴れていく。リーリエからの手紙だ。送り先は書かれているだろうか。
 リーリエにたくさんたくさん言いたいことがある。手紙でもなんでもいいから、聞きたいことが山ほどある。わたしは家を飛び出してククイ博士の元へと走った。
 手紙を返すときは必ず書いてやるんだ。
『リーリエに会いたい!』

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