辞書ほどの厚さの雑誌を、ようやく買って帰り机に置く。ふぅ、と一息ついてから華房心は椅子に座った。買ってきたのは今月号のブライダル雑誌。次号を飾るのは自分だと思うと胸が踊る。
ウェディング関連の仕事はずっとやってみたかったのだ。ルナが撮影をしていたとき、桃がドレスを着ていたとき、隣で見ていてずっと羨ましかった。自分にもその番が来ないかと、首を長くして待っていたのだ。そんなひとつの夢が叶いそうで、心は今から楽しくてしかたがなかった。
雑誌を一枚一枚、丁寧にめくる。
どんな衣装がいいだろう。華房心にふさわしい、かわいい、レースたっぷりのものがいい。薄ピンクで、青と黄色も彩って。繊細なティアラはもちろん欠かせない。
場所はもちろんかわいいチャペル。どんな演出にしたら一番かわいく見えるのだろう。せっかくのウェディング、仕事でも何一つ妥協なんてしたくない。
そうやって完成させた舞台で、二人、並び立って。きっと、隣にいるのは――――。
「…………!! やだ、なんであいつの顔が」
そこまで考えて、浮かんだ顔に頭を振った。
日本人離れした鮮やかな金の髪、空みたいな青い目。いつものうるさい元気な様子じゃなくて、真剣な眼差しで心を見る、あの男が想像から消えてくれない。せっかくプロデューサーとW花嫁としたかったのに、一度考えてしまうとだめだった。
――確かに、王子様みたいだけど。
世界一かわいい華房心を、迎えに来てくれるなら。
プロデューサーと二人で花嫁になるのもいいけれど、浚われるのだって夢だった。
ブライダル雑誌を閉じて、無理やり空想を終わらせる。まだ、だめだ。この話はまだ早い。
選ぶのは、まだ早い。星夜を王子様になんてまだしてあげない。
大きく息をはいて心を落ち着ける。おやつにメロンパンでも食べよう。
ウェディング関連の仕事はずっとやってみたかったのだ。ルナが撮影をしていたとき、桃がドレスを着ていたとき、隣で見ていてずっと羨ましかった。自分にもその番が来ないかと、首を長くして待っていたのだ。そんなひとつの夢が叶いそうで、心は今から楽しくてしかたがなかった。
雑誌を一枚一枚、丁寧にめくる。
どんな衣装がいいだろう。華房心にふさわしい、かわいい、レースたっぷりのものがいい。薄ピンクで、青と黄色も彩って。繊細なティアラはもちろん欠かせない。
場所はもちろんかわいいチャペル。どんな演出にしたら一番かわいく見えるのだろう。せっかくのウェディング、仕事でも何一つ妥協なんてしたくない。
そうやって完成させた舞台で、二人、並び立って。きっと、隣にいるのは――――。
「…………!! やだ、なんであいつの顔が」
そこまで考えて、浮かんだ顔に頭を振った。
日本人離れした鮮やかな金の髪、空みたいな青い目。いつものうるさい元気な様子じゃなくて、真剣な眼差しで心を見る、あの男が想像から消えてくれない。せっかくプロデューサーとW花嫁としたかったのに、一度考えてしまうとだめだった。
――確かに、王子様みたいだけど。
世界一かわいい華房心を、迎えに来てくれるなら。
プロデューサーと二人で花嫁になるのもいいけれど、浚われるのだって夢だった。
ブライダル雑誌を閉じて、無理やり空想を終わらせる。まだ、だめだ。この話はまだ早い。
選ぶのは、まだ早い。星夜を王子様になんてまだしてあげない。
大きく息をはいて心を落ち着ける。おやつにメロンパンでも食べよう。
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