今日は何日だっけ。
朝、なにかが引っ掛かってわたし天野由井はカレンダーを見る。6月15日。なんの変哲もない土曜日。誰かと約束はしてないけれど、多分セナがいつも通りわたしを引っ張り出しに来るだろう。それだけの土曜日のはずだ。ただ、どうしてだろう、この日はなにかの特別だった気がして頭を捻る。
昔、家族で本当なら学校があるような時に遊園地に行った覚えがある。次の日に見せびらかすみたいにお土産を友達に配って、お返しに自慢するようにちょっと遠い場所のご当地お菓子をもらった。
どうして、今日思い出したんだろう。シスマに来る前のことを、わたしはほとんど覚えてないし、思い出すこともなかったのに。
うーん、と首を捻って、まあいいやと洗面所に行こうとした。その時に急に思い出した。
6月15日。千葉県民の日だ。梅雨の時期だからせっかくの休みになっても雨でいつも遠くに遊びには行けなかったのに、あの遊園地に行った年は珍しく晴れたのだった。
ほう、とすっきりして息を吐く。
驚いた。外の生活を今になって思い出すだなんて。カレンダーをもう一度見て、それから予感がしてカーテンを勢いよく開いてみる。
最近、シスマでも嫌になるほど雨が続いていた。それなのに、まるで台風の目に入ったみたいに今日はよく晴れた空をしている。
このせいだ。いつも雨なのに晴れたから。外にいた頃を思い出したのは。
「……パパ、ママ」
もう5年以上口にしてない単語を言葉にしてみた。あまりの口なじみのなさと言いにくさに苦笑した。ごめんなさい、こんなに親不孝な娘で。もう外での生活なんてなんにも思い出せなかった。
思い出しても耽るほどの感慨がない。そろそろシスマでの生活の方が長くなるせいだ。今日を境に二度と思い出さない気がした。
顔を洗って朝ごはんを食べよう。セナが遊びに来る前に。昔のことよりも今日のこの瞬間の方が大事だ。
朝、なにかが引っ掛かってわたし天野由井はカレンダーを見る。6月15日。なんの変哲もない土曜日。誰かと約束はしてないけれど、多分セナがいつも通りわたしを引っ張り出しに来るだろう。それだけの土曜日のはずだ。ただ、どうしてだろう、この日はなにかの特別だった気がして頭を捻る。
昔、家族で本当なら学校があるような時に遊園地に行った覚えがある。次の日に見せびらかすみたいにお土産を友達に配って、お返しに自慢するようにちょっと遠い場所のご当地お菓子をもらった。
どうして、今日思い出したんだろう。シスマに来る前のことを、わたしはほとんど覚えてないし、思い出すこともなかったのに。
うーん、と首を捻って、まあいいやと洗面所に行こうとした。その時に急に思い出した。
6月15日。千葉県民の日だ。梅雨の時期だからせっかくの休みになっても雨でいつも遠くに遊びには行けなかったのに、あの遊園地に行った年は珍しく晴れたのだった。
ほう、とすっきりして息を吐く。
驚いた。外の生活を今になって思い出すだなんて。カレンダーをもう一度見て、それから予感がしてカーテンを勢いよく開いてみる。
最近、シスマでも嫌になるほど雨が続いていた。それなのに、まるで台風の目に入ったみたいに今日はよく晴れた空をしている。
このせいだ。いつも雨なのに晴れたから。外にいた頃を思い出したのは。
「……パパ、ママ」
もう5年以上口にしてない単語を言葉にしてみた。あまりの口なじみのなさと言いにくさに苦笑した。ごめんなさい、こんなに親不孝な娘で。もう外での生活なんてなんにも思い出せなかった。
思い出しても耽るほどの感慨がない。そろそろシスマでの生活の方が長くなるせいだ。今日を境に二度と思い出さない気がした。
顔を洗って朝ごはんを食べよう。セナが遊びに来る前に。昔のことよりも今日のこの瞬間の方が大事だ。
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