2019/02/23

2019.2.23

 朝、少しゆっくりとした九時頃に高速バスへ乗り込む。三列独立のシートは座り心地がいいとはあまり言えない。けれど、高速バスは結構好きだった。特に昼に乗るのんびりとしたバスは。
 溜まった有給を使うように命じられて、じゃあ、となんとなく行くことにした大阪旅行。久々に乗る高速バスは静かな中粛々と走っていく。外を眺めながら適度に暇を潰していれば、道中いくらかのサービスエリアに停まる。意外と東京は広く、それ以上に神奈川は広かったりするので驚きだ。
 出発して三時間が経った頃だろうか。神奈川を抜け、自然の増えてきたところで静岡に突入する。マップアプリは偉大なもので、今どんな場所を通っているのかがわかるので楽しい。
 そうこうしていると、静岡で初めてのサービスエリアに到着する。海老名の立派なサービスエリアは色々見たくなるが、残念ながら観光するだけの余裕はもらえないのが高速バスの惜しいところだった。
 休憩ついでに昼でも買おうとバスを降りる。コンビニで適当におにぎりを買ってバスに戻ろうとしたところで――感嘆の声を上げた。
「すごい、おおきい…………!」
 目の前を占める、青く美しい富士山。空に溶け込みそうな透き通った青なのに、存在感の薄れない雄大な姿に釘付けになる。
 写真では見たことがあったが、こんなに大きなものだとは知らなかった。こんなにも美しいものだったのか。
「日本の象徴だもんなぁ……」
 思わず手を合わせて、もう少しみとれてからバスに乗り込む。目的地まではまだ遠い。その旅路の安全を富士山に見送られバスは再び静かに走り出した。

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