2019/01/05

2019.1.5

「あけましておめでとう!」
 冬休みが明け、久しぶりの登校に学校はこの挨拶で溢れる。わたしも同じようにおめでとうと返して鞄を机に置いた。
 冬休み明けて一週間もすれば試験になる。正月気分を引きずったままのわたしたちにとってそれは大打撃だったが、今年のわたしはちょっと違う。万年筆があるからだ。
 万年筆で勉強するのにハマってから、ちょっとだけ勉強するのが楽しくなった。万年筆を使いたいがために問題集を開いては解いていたので、今度のテストはちょっと自信がある。友達には言えない秘密だった。
「そういえば、年賀状届いたよ。宛名の色すごい綺麗だった!」
「ほんと? よかったー。新しくペン買ったから使いたかったんだ」
 友達から万年筆で書いた宛名を褒められ、少し嬉しい。新しく買ったペンと言えば怪しまれることもない。こういうとき、女子は言い訳しやすくていいなと思う。
 別に、本当は、言い訳なんてする必要もないけれど。
「そうなんだ、なんのペン? 見せて!」
「え、ああ……家に置いてきちゃった」
「そうなの? じゃあどこで買ったの?」
「えっと、内緒」
 貰い物だと口を滑らせそうになって、内緒と誤魔化す。確かに綺麗な色だけどここまで興味を持たれるのは誤算だった。女子の色ペンへの興味を甘く見てた。
 万年筆だと素直に言えないことに胸が痛い。背伸びをしている自分がバレるのは、まだやっぱり後ろめたかった。

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