2018/12/30

2018.12.29 POP'N STAR

 今まで一人で十分だと思っていた。実際私は一人でもやれていた。ファンはたくさんいたし、後輩もできた。仲間なんていらなかったし、一人で立てないなんて弱者の証拠だと思っていた。
 だから、仲間を作ったのは、ただの好奇心だ。ちょっとだけ、楽しそうだったから。私は仲間が必要なほど弱くなんてないけれど、ただそれだけのために友人たちを引き入れた。
 それだけのはずだった。私は弱くなんてないはずだった。
「……心?」
「心ちゃん、どうしたの?」
 初めて、三人になったPOP'N STARを御披露目したあと。
 袖に引っ込んだとたん足が動かなくなって、私の頬を涙がぼろぼろと伝っていった。ルナと桃の心配そうな表情がいたたまれなくて顔を覆ったけど、溢れる涙が止まらない。
「どうしたの? どこか痛い?」
「心、どうしましたか」
「ちがう……ちがうの……」
 しゃくりあげて泣く私を、ルナと桃が懸命に宥めてくれる。背中を擦られ、ハンカチを差し出される私はなんて弱いのだろう。
 だけど暖かくて、そして嬉しかった。
「ルナ、桃……っ。仲間も、いいものね」
 一人じゃないことが、こんなにステージで安心するだなんて思わなかったのだ。
 誰かに頼るのは、自分の弱さをさらけ出すようで恐ろしかった。だけどルナも桃も、私の涙を笑わないでいてくれる。
「そうだね、心ちゃん」
「ええ。隣に誰かがいるのは、いいものでしょう」
 ステージの方で未だ続くPOP'N STARコール。私は、私たちは、きちんと受け入れてもらえている。ルナも桃も、ファンのみんなも、私のことを受け入れてくれる。
「ありがとう……ありがとう……!」
 そんな事実が、ステージを終えてついに実感に追い付いてきて涙が止まらない。悲しい涙ではない。私は一人を恐れてなどいない。
 ただ、仲間がいてくれることの温かさに感動をしてしまったのだった。

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