2018/12/13

2018.12.13

 双子の弟の背が伸びてきた。
 それまで男女なのに顔そっくりで散々見分けがつかないと言われてきたわたしたちにとって、それは非常に革命的なことだった。
 普通の成長期なのに、わたしの方が早く成長期も来てたのに、どうしてだろう。あ、別個体なんだ。なんて実感してしまったのだ。
 価値観も合うし、思考も似てるし、なんだかんだ半身として存在していた弟が、急に別人のようになっていく。別個体として歩み出している。そのことにわたしは自分でも不思議に思うほどびっくりしていた。
 それまでそっくりだった顔が、だんだん男女の顔に分かれていく。不思議な気持ちだった。男になっていく自分を見ているのは。
「ねぇ」
「ん?」
「なんでもない」
 言葉にし難い感慨を伝えるのは悔しくて、寝っ転がっている弟を蹴飛ばす。痛いという悲鳴を無視して、部屋に戻る。
 成長と共に自然と分けられた部屋。成長していく体。きっともう半身には戻れない。わたしたちはこれから鏡になるのだ。
 ――わたしの成長期が来たとき、あいつもこんな気持ちだったのかな。
 勝手に複雑になっていく心情に、自分のかつてを思い出す。弟はなにも言わなかったけど、もしかしたらわたしと同じような寂しさに襲われていたのかもしれなかった。

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