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2018/12/03

2018.12.3

 12月にも入ったから、いい加減スケジュール帳買わないとな、と本屋に入る。文具のある階まで登れば、そこには一面広げられたスケジュール帳の数々。
 見ているだけでも楽しいそれらの中で、わたしが選ぶのはいつもかわいいキャラクター物。あまりキャラには拘らないで、なんとなく一番気に入った柄を選ぶ。どうせ買ったあと、別に使うこともないからだ。いい年齢だから、一応持ってるだけ。
 これかわいいな、とリスのキャラクターが描かれているものを手に取る。さて、会計をするかと顔を上げたところで――万年筆売り場が目に入った。
 丁寧にショーケースに入れられた品々。それが万年筆であることを今まで気にしたことがなかった。誘われるように近付いて、中を覗き見てみる。値段はピンキリだ。100円のものから、10万円を超えるものまで。すごいなぁ、と見て回っていると、以前おじいちゃんから貰った万年筆も飾られていた。
 ――うわ、1万円もするじゃん!
 その値段を見てぎょっとする。いや、他には15万とかもざらにあるのだけど。でも学生の文房具にするにはあまりにも高すぎる。だってわたしのシャーペン、500円とかなんだけど。
 おじいちゃんにはがきを送って以来、あの万年筆は使っていない。まだ使えるんだろうか。インク悪くなってないかな。
「………………」
 持っていたスケジュール帳を戻して、合皮の表紙のものを手に取る。少し値は張るが、出せない額じゃない。
 ――ちょっとは使わないと、おじいちゃんに悪いよね。
 スケジュール帳をつけられるように、今度バイトでも始めてみようかな。なんて考えながら、わたしはレジに向かった。
           

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