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2018/12/02

2018.12.2 13ボイ

 Voidollに呼ばれ13が扉を開いた先では、ヒーローたちが一同に会していた。13が#コンパスに潜入してから早くも一年。それをこんなにも盛大に祝ってもらえるというのは、悪い気分ではない。
 ――どうしても祝いたいってんならしなたねぇなぁ?
 ふふん、と主役として足を踏み入れたところで、上に飾られている段幕が目に入った。
『祝 #コンパス2周年!!』
 足が止まる。
「ニシュウネン? え、俺様の登場1周年記念パーティーじゃねーの? おいマジかよ」
 どういうことだ、聞いた話と違うじゃないか。13はヒーローたちを掻き分けて自分を呼んだ機械少女を探した。ヒーローと軽く話してすぐ、別のところへと飛び立とうとする彼女を見つけるやいなや13は怒鳴った。
「待てカタコトマシーン!?」
 喧騒が止み、13の声の余韻が残る。そんな中、しんとした空気も気にせず浮遊してきた機械少女が13の前に降り立った。
「ナンデショウ」
「おい、なんだよこれは。聞いた話と違うぞ」
「アナタヲ 呼ブナラ ソノホウガ 効率ガイイト 思イマシタノデ」
 曰く、2周年記念にヒーローたちにコメントをもらって回っているという。
 確かに、13はそんな名目では現れない。ぐぐぐ、と唸っていると機械少女はこてんと首を傾げる。
「モシカシテ 祝ッテ モライタカッタノデスカ?」
「そんなんじゃねぇよ! くそっ、俺は帰るぞ!!」
 恥ずかしくなってきて、13は踵を返す。しかし、Voidollが回り込んできて阻まれてしまった。
「13、アナタハ コノ世界ニ 侵入シテキタ 異分子デスガ」
「なんだよ、煽ってんのか」
「アナタノ オカゲデ 新シイ データヲ 取ルコトガ デキマシタ。感謝シテイマス」
 カタコトでたどたどしく話した機械少女は、そこまで話すとすっと腕を伸ばしてきた。なにをされるのかと身構えると、こつんと機械の手が頭に置かれる。
 それがよしよしと撫でる動作に変わったとき、ぐわりと熱が上ってくる。乱暴に手を退けると、怒鳴るように叫んだ。
「うるせぇっ! 帰る!!」
 どかどかと扉から出ていく13を機械少女は止めなかった。ただ、不思議そうに小首を傾げて呟くばかり。
「人間ハ 褒メラレルトキ 頭ヲ撫デラレルノヲ 好ムト聞イタノデスガ……違ッタノデショウカ?」


 

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