美幸と出会ったのは幼稚園生の頃。どうやって仲良くなったのかはよく覚えていない。ただ、気が付いたらずっと一緒にいたのだ。
家が近くて、よく同じクラスになっていて。美幸はあの通り色んなものを忘れたりドジったりと世話が焼ける性格なので、あたしがいないとダメだなと判断してから久しい。喧嘩もしたことがないし、示し合わせて同じ高校に進むくらい、長い長い年月を一緒に過ごしてきた。
そんな感じだから、美幸のことならなんでも知ってる。例えば、一年時最後のテストの点数がちょっと悪かったこと。そのせいでお小遣いが減らされたこと。いい機会だから喫茶店でバイトを始めたこと。コーヒーの違いがよくわからなくて困っていること。
それと同じくらい、美幸もあたしのことを知っている。もはやもう一人の自分と言っていいほど、距離の近い親友。美幸にはなんでも話せるし、美幸が困っていればいくらでも力を貸す。
いつか、お互いに彼氏が出来て少しだけ距離感が変わるかもしれない。それでもきっと、あたしたちの関係が変わることはない。
そう、信じていた。
0 件のコメント:
コメントを投稿