二年生に上がって、少しが経った。それでなにかが変わったかと言うと、大いに変わっている。
世界中のあちこちに、水の精霊アンダインの気配を感じるのだ。飲み物に、蛇口に、雲に、雨に、木々に。常にアンダインがそこにいるのだ。コルネリアを見守ってくれている目がそこにあるのだ。
精霊との契約をしていなかった頃は、こんなに明確に守られていると感じたことはなかった。これが精霊との契約なのかと感動しないではいられない。
「アイザック先生、契約ってすごいですね。四大精霊たちはこんなにもわたしたちを守ってくれてるんですね!」
「そうだね。四大元素は身の回りのどこにでもあるもの。それらを司る精霊たちは、当然どこにでも宿っているからね」
興奮気味に報告するコルネリアに、アイザックは優しく応える。
「でもこんなにいつも見られていると、悪いことはできないですよね?」
「おや、悪いことがしたいのかい? どうだろうね、僕たちと精霊たちの善悪は違うからねぇ……」
もちろん、精霊を怒らせてしまうと、力が借りれなくて魔法が使えなくなるけれど。いわゆる悪の魔法使いというのがいなくならないのは、善悪の価値観が違うからだろうか。
アイザックの言葉に首を捻りながら、とりあえず精霊に恥のないよう、勉強を頑張る必要だけは感じ取った。
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