2018/12/19

2018.12.18

 大学生活が始まって一週間。まだ浮かれモードはあるものの、学生時代の長い俺たちは早々に大学生というものに馴染んでいた。
 高校時代の友人とつるんだり、SNSで知り合ったやつらと遊んだり離れたり、偶然知り合った人間となんとなく友達になってしまったり……とりあえず、友人には事欠かずに済んでいる。
 その友人たちの中には当然、たまたま知り合った美貌の女性――ではなく、男である橘透也も含まれていた。何故か気が合うらしい俺たちは、多くの授業が被っていたために自然と一緒にいるようになっていた。
「そういえばさ、お前サークル入るの?」
「んー……入んないと思う。バイトもあるし」
 入学から一週間経った今はサークルの勧誘シーズンで、三歩歩く毎に先輩に捕まる始末。それが目立つ美貌の透也ともなれば、さぞかし凄いんだろうなと思った。今朝などあまりに疲れていてびっくりしたほどだから。
「嬉しいだろ」
「はぁ?」
「俺がサークル入んなくて」
 脈絡なくそう言うと、彼はにっと笑う。その美貌に思わずたじろぐと、さらに可笑しそうに笑う。
 一週間一緒にいて、彼が男であることは理解できた。だけど、この美女とも見紛う美貌に一向に慣れないでいる俺は、すっかりこいつに遊ばれっぱなしだった。
「俺のこと積極的に独り占めできるもんな~」
「からかうな、馬鹿」

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