わたしの友達はとてもかわいい。かわいいというより美人系だけど、とにかくかわいい。しっかり者で、気配り屋で、そして誰とも平等に接することができる彼女の友達でいられることはわたしの誇りだ。
そんな彼女――朝比奈柚希は、気が付いたらアイドルになっていた。とても楽しそうな彼女は素敵だったけど、わたしと遊べる機会はがくっと減った。それは不満だったけど、それでもわたしはなにも言わなかった。
そんな学生生活を過ごし、わたしたちは大人になった。普通にOLになったわたしと、アイドルからプロデューサーに転向した柚希との予定はなかなか合わなかったけど、たまにバーに寄ったりするのが楽しみだった。
本当はもっとたくさん遊びたかったけど、わたしは今までそれで我慢していたのだ。
それなのに。
「それでね、一誠くんたちが……」
柚希の口から、かつてのクラスメイトの名前ばかり出てくる。
柚希とあの不良連中が何故か仲いいのは知っていた。誰とも平等な彼女なので仕方ないと思ってた。
だけど、わたしを差し置いてわたしより近い場所にいるのはどういうことだろう。腹が立った。柚希を追うようにアイドルになったのは知ってたけど、でもやっぱり柚希が嬉々としてあいつらの話をし続けているのはちょっと許せない。
わたしは、ずっと遊べなくても我慢し続けていたのに、なんであいつらの方が優先されないといけないのか。
「…………わたしもアイドル目指そうかな……」
そんなムカつきが、思ってなかった形で口に出た。びっくりしたが、でも柚希にそんなに一生懸命に想ってもらえるなんてアイドルたちが羨ましかった。
とはいえ、わたしは凡人。アイドルなんか出来るわけがない。忘れて、と慌てて否定しようとした。
しかし、柚希は驚くほど表情を煌めかせる。
「ほんと!? いいと思う! うちには女の子が少ないから狙い目だし、あなたなら…………」
「す、ストップストップ! やらない、やらないよ!?」
「え、やらないの?」
「やらないよ、冗談だって!」
思いの外本気でプロデュース案を語られ出してぎょっとする。顔もよくなければ歌も踊りもできない女にどうしてアイドルが勤まると思うのか。
柚希は残念そうに酒を口に運ぶ。
「せっかくもっと一緒にいられると思ったのにな」
色々してあげられると思ったのに。と柚希は溢す。
それを聞けただけで、わたしのさっきまでの苛立ちが溶けて消えてしまった。
――ああ、柚希も寂しいと思ってたんだ、よかった。
「そう思うならもう少しわたしとも遊んでよね~?」
「ごめんなさい、いつもスケジュール合わせてもらって」
「いいよ別に」
わたしは、好きなことをしてか輝いている朝比奈柚希が好きだ。だから仕事より優先してほしいなんて言わない。
彼女と友達で居続けられることが、わたしの誇りなことは昔から変わってなどいないのだ。
そんな彼女――朝比奈柚希は、気が付いたらアイドルになっていた。とても楽しそうな彼女は素敵だったけど、わたしと遊べる機会はがくっと減った。それは不満だったけど、それでもわたしはなにも言わなかった。
そんな学生生活を過ごし、わたしたちは大人になった。普通にOLになったわたしと、アイドルからプロデューサーに転向した柚希との予定はなかなか合わなかったけど、たまにバーに寄ったりするのが楽しみだった。
本当はもっとたくさん遊びたかったけど、わたしは今までそれで我慢していたのだ。
それなのに。
「それでね、一誠くんたちが……」
柚希の口から、かつてのクラスメイトの名前ばかり出てくる。
柚希とあの不良連中が何故か仲いいのは知っていた。誰とも平等な彼女なので仕方ないと思ってた。
だけど、わたしを差し置いてわたしより近い場所にいるのはどういうことだろう。腹が立った。柚希を追うようにアイドルになったのは知ってたけど、でもやっぱり柚希が嬉々としてあいつらの話をし続けているのはちょっと許せない。
わたしは、ずっと遊べなくても我慢し続けていたのに、なんであいつらの方が優先されないといけないのか。
「…………わたしもアイドル目指そうかな……」
そんなムカつきが、思ってなかった形で口に出た。びっくりしたが、でも柚希にそんなに一生懸命に想ってもらえるなんてアイドルたちが羨ましかった。
とはいえ、わたしは凡人。アイドルなんか出来るわけがない。忘れて、と慌てて否定しようとした。
しかし、柚希は驚くほど表情を煌めかせる。
「ほんと!? いいと思う! うちには女の子が少ないから狙い目だし、あなたなら…………」
「す、ストップストップ! やらない、やらないよ!?」
「え、やらないの?」
「やらないよ、冗談だって!」
思いの外本気でプロデュース案を語られ出してぎょっとする。顔もよくなければ歌も踊りもできない女にどうしてアイドルが勤まると思うのか。
柚希は残念そうに酒を口に運ぶ。
「せっかくもっと一緒にいられると思ったのにな」
色々してあげられると思ったのに。と柚希は溢す。
それを聞けただけで、わたしのさっきまでの苛立ちが溶けて消えてしまった。
――ああ、柚希も寂しいと思ってたんだ、よかった。
「そう思うならもう少しわたしとも遊んでよね~?」
「ごめんなさい、いつもスケジュール合わせてもらって」
「いいよ別に」
わたしは、好きなことをしてか輝いている朝比奈柚希が好きだ。だから仕事より優先してほしいなんて言わない。
彼女と友達で居続けられることが、わたしの誇りなことは昔から変わってなどいないのだ。
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