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2019/03/28

2019.3.28

 突然言い渡された旅行のため、荷物をトランクに詰めるべく整理をしていく。着替え、下着、化粧水等々……コンパクトにしようとしても細々としたものでどんどんかさ張っていく荷物に断捨離は諦めていた。
 荷造りはそんなに時間はかからなかった。服には多少手間取ったが、二泊三日の量なんてこんなものだ。疲れたな、と息をついたところで、そう言えば万年筆はどうしようと思い出す。
 おじいちゃんに万年筆のお礼はしないといけない。それには持っていく必要がある。しかしおじいちゃんの家は飛行機の距離で――以前、万年筆について調べたときにインク漏れがどうのと見た気がして改めて調べる。
 曰く、飛行機の気圧によってインクが漏れてしまう可能性があると言う。対策としては、インクを満タンにしてペン先を上にするのがいいらしい。ビニールでもついでに被せておこうか。密閉はよくなさそうだからしないけど。
 勉強で使う万年筆のインクは、現在残り半分くらい。二回ほど入れ直したのに瓶にはまだまだたっぷりインクが入っていた。ペンの中身を捨てるのはもったいないけれど、瓶にインクを戻すのはよくないらしい。中身を捨てて水に浸ける。どうせならおじいちゃんに見せるために綺麗にしておきたい。
 ちゃんと大事に使ってるよ、少しずつだけど好きになってきたよ。特に、溶かしたインクが綺麗に水を青く染めていくのを見るのが好きだよ。ちゃんと使って、最後に洗う時のご褒美みたいな、そんな美しい海の色。
 万年筆に抱き始めた愛着は、初めて触れたとき、お礼のハガキを出したときにはなかったもの。それをきちんと伝えたい。だから、丁寧に万年筆を洗った。

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