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2019/01/03

2019.1.3

 過去、アイザックに恋慕を寄せる女生徒は何人かいた。アイザックが教師陣の中で若い方だからだろう。しかし、その誰もが成長と共に別の恋へと移っていった。アイザックはその成長を見て微笑ましく思いながら、自身は恋の一つもなく、気ままに研究をして過ごす日々。
 そんな中でたった一人。いつまで経ってもアイザックから目を離そうとしない少女がいた。コルネリアだ。
 太陽色の髪とお揃いの瞳をいつまでも輝かせて、まっすぐアイザックを見つめている少女。彼女が一年生の頃から貰い続けていた手紙は山のようとなり、好意を隠そうとしないあまり他の教師にまでからかわれる始末。
 コルネリアはいつ見ても、太陽色の瞳を様々な色に輝かせて世界を見ていた。光の当たり方で色を変えるように、見るものそれぞれに恋をしているかのような熱量で世界を見つめていた。そんなコルネリアの瞳が、アイザックを見るときはまるで朝日のように輝くのだ。地平線から昇る、生れたての太陽の色でアイザックを見つめるのだ。
 そのあまりの熱量に、アイザックはどう応えたらよいのかわからないでいる。彼女はまだ幼く、自分は彼女より年を取りすぎている。成長する上でいずれ落ち着くだろうと思っていた好意はさらに熱意を上げていくのに、アイザックは動くべきなのかわからないのだ。卒業するまで放っておいてよいのか、誠実に向き合うべきなのか。大人として教師として、どうするのが正解なのだろう。
 しかし――コルネリアの、あの世界に恋する瞳を見ていたい気持ちが、アイザックにはあった。

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