2019/01/12

2019.1.12

 冬休み明けてすぐに行われる定期試験から一週間。いよいよテストが戻って来はじめて、わたしはその点数に驚愕した。
「おお……勉強ってするものだな」
 万年筆使いたさに勉強をしていたおかげで、いつになく点数がいいのだ。十点くらい伸びてる。確かにいつもより問題が簡単だなとは思ったけど、これはちょっと調子乗ってしまいそう。
 重点的にやっていた数学を初め、化学なんかも点数がよかった。数字を見るのも苦痛だったのに、万年筆を必死に滑らせていた甲斐があったというものだ。帰ってお母さんに自慢しよう、と嬉しくなる。
 あのくらいの勉強でこれだけ伸びるんだから、このまま続けていればもっと成績が伸びるかもしれない。なんて一人妄想に耽る。これも万年筆で勉強することを教えてくれた佐藤くんのおかげだ。
 ――そういえば、佐藤くんとあれから話してないな。
 みんなで点数を見せあって、わいわいと話している佐藤くんを見る。話したことがあるかもわからなかったクラスメイトの男の子。珍しく、万年筆を使っている男の子。
 もう少しそんな彼と万年筆の話がしたかった。万年筆の使い方を教えてくれたことにお礼もいいたかった。

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