#コンパスの世界に招待されて、あれやこれやと試して遊んだ二週間。好奇心が落ち着いた頃、ニコラ・テスラが次に興味を示したのは、自分を招いた機械少女だった。
機械でありながら少女の柔らかさと性的魅力を連想させる機械少女、Voidoll。#コンパスの管理人である彼女の原理、構造を知りたがるのはテスラにとって当然のことであった。
一日中をかけて彼女を追跡し、様子を探る。スパイごっこのようなおいかけっこは胸が踊るものの、彼女が一向に気付かないのが不思議だった。こんな隠れる気のない尾行に気付かないものだろうか。
そんな風に観察を続けていると、彼女の姿を一瞬にして見失う。見回しても機械少女の姿はなく、一体どこに、と思っていたところでトンと背中を押された。
「ニコラ・テスラ。何ヲ シテイルノデス」
「Voidoll!!」
「ズット ツケテ イマシタネ」
やはり気付いていたか。その事実に胸が踊る。彼女の筒状の手を握り、テスラは距離を詰める。
警戒をしない彼女は無表情にテスラを見上げた。
「僕ね、君のことがもっと知りたいんだ!」
「ワタシノ 性能ヲ 調ベテイタノデスネ」
「うん! もっと君のことを知ってね、それで」
そんな彼女にテスラは夢を語る。
「いつか君の友達を作ってあげるね!」
Voidollを見てすぐに考えたこと。それが彼女と同型の開発をして、彼女の友達にすることだった。他に#コンパスを管理するAIたちはVoidollのような知能を持たされていない。それはなんだか寂しい。
「だから、楽しみにしててね!」
「……ソウデスカ。期待シテイマス」
無表情な彼女の機微はわからない。だが、少しだけ嬉しそうに見えた。
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2019/02/21
2019.2.21 テスボイ
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