メニュー

2019/01/04

2019.1.4

「コルネリアさんの目はいつも綺麗な色だね」
 いつも通りアイザックの部屋に理由をつけて入り浸っていたコルネリアへ、彼がそんな世間話をしたのは唐突なことだった。物腰は丁寧で、勉強と魔法に関することはいくらでも聞いてくれるアイザックだが、彼からコルネリアに興味を持ってくれることは滅多になかった。
 そんな仰天の一言にコルネリアは一瞬固まり、それから太陽色の瞳を一層輝かせて答えた。
「そうでしょう! これはね、魔除けの色なんです!」
「ほう?」
「霊たちはこの色を嫌がるんですよ!」
 きっとアイザックはこの話が好きだろうと、昔々に聞いた言い伝えを語る。
 コルネリアの瞳の色は魔除けの色。暗がりに紛れる霊たちを暴き逃がさない色。それでいて、霊たちはこの瞳のコルネリアに近付くことが難しいのだ。人間が太陽から逃れられず、近付くことが出来ないように。
 そんな特性に気付いた先祖が退魔師を始めてから、コルネリアの家は代々それを生業にしているのだった。
「なるほど。それで安心して仕事ができるわけだね」
「はい! 神様からの贈り物だから大切にしなさいって。わたし、この色大好きです!」
 誇らしく語るコルネリアの頭をアイザックは優しく撫でてくれる。
「きっとそんなコルネリアさんだから、主は魔除けを授けたんだろうね」
 いつもと少し違う雰囲気の優しい顔で、コルネリアを撫でる。コルネリアはその違和感に気付いていたが、正体もわからず、ただ嬉しいとだけ思った。

0 件のコメント:

コメントを投稿