2019/01/29

2019.1.28

 家に転がしていた高校時代の体育館履き。それに適当なシャツとジャージを担いで、ついにやってきてしまった。
 運動嫌いを拗らせること何十年。年々減っていく運動量に、元々貧弱なのも相まっていよいよ危機感を覚えてやってきてしまった。
 スポーツジム。一体どんな筋肉人間だらけなのかと思うと気が重くて仕方ないし、そもそもこんな適当すぎる装備で大丈夫だろうか。きっちり服から揃えてないと笑われたりするだろうか。
 運動というものから逃げ続けてきた自分にとって、スポーツジムは魔境だった。一歩踏み込めば取って喰われる気さえする。やっぱりやめた方が、家でのんびり筋トレでもしてた方が、なんて考えながらも重い足は受付へと向けて進んでいく。これほど忌避感がありながら乗り込んできたのはひとえに、それくらい無理矢理にでも来なければ運動なんてしないからだ。
 運動は好きじゃない。上手くないし、足は速くないし、すぐに疲れるし、試合では勝てなくて惨めな気持ちになる。上手い人間に囲まれて、やり方もわからないままやらされていた体育の授業は思い返すだに恐ろしかった。それでも人間は運動をしないと駄目になってしまうのだから、悲しいものだ。
 憂鬱な気持ちになりながら、一日お試しに申し込む。着替えた後、運動前に軽く案内をしてもらうとその淡々とした空気感に驚いた。それぞれが無関心に、黙々と運動をしている。レッスンもあるが、参加は自由。人も多くないようだ。
 不思議な感じだった。体育や習い事ではなかった形の運動が目の前に広がっている。他人になにを言われることもなく、自分のペースで、自分のやれる範囲ですることができるのだ。きっちり鍛えている人から、自分よりも年上の、見るからに運動不足な人まで。その幅は広いが一様にお互いに無関心だった。
 それを目の当たりにしたとき、少しだけ心が軽くなる。こんな運動の形があるならば、ちょっとだけ頑張れる気がした。

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