2018.11.26 ピカブイレポート⑪

　意を決してポケモン屋敷に入ると、もう引き返したくなった。だって、薄暗いし、埃っぽいし、臭いし!　ジムリーダーもなんでこんなところに鍵を隠したんだろう!　女の子が一人で来るところじゃなくない!?　床もところどころひび割れるどころか抜けてるしさぁ!
　なんて、嫌々ながらに鍵を探していると、時々見つかる誰かの日記。それらは断片的で、あたしにはよくわからない。ただ、本棚にある古い本たちはポケモンに関する本ばかりだった。難しい言葉で書いてあって、触りたくもないから、よく見てもないけど。ここに住んでた人はポケモンの研究者だったのかもしれない。
　そうやって探し回って、地下の奥深くに行くと、飛び散ったガラスと空っぽの機械があった。それは中から何度も外に出ようと叩いた跡があって、ひどく恐ろしい様子だった。それを見た瞬間、ぶわっと日記の様子が思い浮かんだ。
『ミュウツーは私の手には負えない』
　ああ、って。
　ここからミュウツーは逃げ出したのか、って。
　ミュウツーというのがなんなのか、あたしはわからない。だけど、ここにいたのは確かなんだろうなって感じてしまう。この中に閉じ込められていたんだって。
　もの悲しくなりながら、さらに奥へと進むと、ようやく鍵を見つけた。
　ジムリーダーは、なにを考えてここに鍵を置いたんだろう。あたしになにを見せたかったんだろう。
　なんだか怖くなって、あたしはすぐに屋敷を出た。ああ、今日はもうお風呂に入って寝ちゃおう。