旅立ちの日をずっと待っていた。ポケモンを貰えるのも待ち遠しかったし、アユミと一緒に行けるのも楽しみだった。
だけど一番は、ポケモンと一緒に強くなっていくことを期待していた。
アユミにも言ったことがない。お母さんにもお姉ちゃんにも言ったことがない、オレだけの秘密。
強くなりたかった。
オレはいつもアユミよりちょっとだけ成長が遅くて、なかなかアユミにかっこいいところが見せられなくて。だけどポケモンならって。一緒に強くなっていけたら、アユミを守れるようにもなれるはずって。
思ってたけど、やっぱりアユミの方がいつもちょっとだけ強いんだ。
かっこ悪いな。悔しいとかじゃなくて……もっと早く、大人になりたい。なんて言ったらいいのかわからないけど、だって好きな子になにも勝てないなんて恥ずかしいじゃんか。
だから。
「まだまだ、諦めるのには早いよな。イーブイ、付き合ってくれよ」
初めての相棒に声をかけると、イーブイは大きな声で答えてくれる。小さいのに、かわいいのに、頼もしくてかっこいい声で。
強くなるって決めたんだ。イーブイと一緒ならできるって思ったんだ。いつか、アユミにちゃんと男らしいところが見せられるようになるんだって。
「さぁ、行くぞイーブイ!」
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